統合データベース構想に
向けた調査分析
「情報がバラバラだ」という共通認識を、どの業務のどの情報がいくらの乖離を生んでいるかという金額付きの地図に置き換えました。
- Client
- 住宅メーカー/生産領域
- Period
- 約xヶ月・現地ヒアリング中心
- Role
- 調査設計から報告まで一貫
- Output
- 最終報告書ほか6点
※ 守秘義務に配慮し、クライアント名・システム名・個人名はすべて伏せ、金額・件数・比率は桁と単位のみを残しました。掲載しているのは調査の進め方・評価軸の設計・損失の算定ロジックであり、実際の分析結果は含みません。ご面談では差し支えない範囲でより具体的にお話しできます。
「情報がバラバラだ」を、金額付きの地図に変える
- 基幹システムがブラックボックス化し、情報の流れを誰も俯瞰できない
- 予算と実績の乖離が重要課題とされながら、何がいくら効いているか説明できない
- 構想の目的が経営層で共通化されておらず、着手先の判断材料がない
- 業務・システム・データを一枚に統合し、問題を業務プロセス上に配置
- 問題を要素分解し、問題ごとの月次乖離額を算出。全体の相当割合をカバー
- 打ち手を効果と難易度で評価し、主管部門・体制まで含めた実行案に
構想を描く仕事ではなく、構想の前提となる現状把握と定量化を埋める仕事として立ち上がりました。
「どこから手を付ければいいのか、誰も答えられない」
市場が縮むなかで量的成長から質的成長へ軸足を移す方針が立てられ、その手段として全体をつなぐ統合データベース構想が掲げられていました。ところが具体化の段階で止まります。前年度までの調査で「情報の抽出と共有に問題がある」ところまでは分かっていたが、生産領域の基幹システムの中身が把握できておらず、全体像が描けない。全体像がないため、全体最適の情報活用モデルを立案できないという順序で詰まっていました。
役員ヒアリングでは、目的が経営層で共通化されていない、予実差異の中身を正しく理解したい、という声が出ていました。裏を返せば投資判断を通すための材料が揃っていなかったということです。
「差異が何に最も影響を受けているか、その中身を正しく理解したい」
現場に入り、業務・システム・データを同じ紙に載せる
机上のシステム調査ではなく、実際に計画を立て見込みを作り乖離を分析している担当者へのヒアリングを軸に据えました。工場側の視点に偏らないよう、施工側の担当者を体制に入れる助言も受けて反映しています。
絞り込みの根拠を金額で持ったことが、短期間で全体像まで到達できた理由です。
測る対象を絞る。絞った根拠を金額で示す
軸を先に決めずに全件を並列に扱うと、報告の場で「で、どれが重いのか」に答えられません。経営層のコメントを起点に絞り込みの軸を収支インパクトへ置き、リスクを3つ定義したうえで金額規模が桁違いに大きい1つを評価対象に決定しました。
| 評価対象 | 定義と算出 | 扱い |
|---|---|---|
| リスク1:予実乖離額 | 対象費目の予実乖離。問題ごとの月当たり額を、前年度実績と当年度の傾向値から算出 | 評価対象に採用。大中小の閾値は現場と合意した水準を使用 |
| リスク2・3 | 挽回策で生じる運賃・保管料(総額を乖離額に比例按分)と、不要な作業工数の金額換算 | いずれも総額が小さいため評価対象外。削除せず参考値として付録に残す |
| 打ち手の効果 | 損失額に、現場の感覚値による削減割合を乗じて算出 | 閾値を問題側と統一し、重さと効果を同じ物差しで読めるようにする |
| 難易度 | システム変更の重さと、業務変更の巻き込み範囲(部門数)で判定 | それぞれ3段階。効果と掛け合わせて優先度を機械的に判定 |
意図的にやったのは、3つ挙げてから2つを落とすこと、閾値を現場と合意すること、問題側と打ち手側の物差しを揃えることの3点です。
金額が出る問題と、出ない問題を分けて扱う
問題ごとの月次乖離額を出したうえで、打ち手を効果と難易度の2軸で機械的に判定しました。効果の閾値は問題側と揃え、重さと効果を同じ物差しで読めるようにしています。
算定と仕分けの作法
- 前提を式まで分解する対象費目が計画・見込み・実績でどう計算されるかを分解し、各変数の出所を識別する
- 重複を明示する複数業務にまたがる問題は按分せず加算し、集計値が別物であることを注記する
- 出せない問題は格上げする定量評価できない問題を対象外にせず、把握できないこと自体が問題として引き上げる
- 対象外を明示する目的から外れる打ち手は実施しないと判断し、別目的では有用だと付記する
短期施策が少ない分布から、容易な打ち手は既に現場で対応済みだと結論づけました。
納品したもの
経営層が投資判断のために読む本編と、現場が実行のために参照する付録に分けて構成しました。本編にはリスク定義と評価の考え方、評価結果、打ち手、スケジュール、推進体制を置き、明細と算出ロジックは付録に格納しています。